18/08/06
独身時代のお金を元手に株で大儲け…財産分与の対象になる?
夫婦は様々なことを共有するもので、隠し事などはないと思われがちですが、実際は色々とあるものではないでしょう。
言いたくない「過去」や「嘘」など、好きであるがゆえの隠し事ならまだいいのですが、中には結婚前に知り合った愛人と続いているなど、許せないものもありますね。
ある夫婦の隠し事が話題に
最近そんな「夫婦の隠し事」で話題になっているのが、ネット掲示板上のある女性の書き込み。
夫が独身時代稼いだ300万円を元手に株式運用し1,500万円儲けるなどしていたようで、5,000万円口座にあることがわかったというのです。そして、夫は30万円を振り込んだのみで、生活費に回してくれないそう。
掲示板ではこの妻が夫を「ケチ」と表現し、「外車に乗りたい」「タワーマンションに住みたい」などと書き込んだたため、「浪費したいだけだろ」などと猛批判を浴びています。
しかし、本来夫の貯金が5,000万円規模ならば、財産分与してもいいのではないかとも思ってしまいます。一体法律上どうなっているのでしょうか?
高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。
財産分与を主張することはできる?
「離婚時に財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦が得た財産です。婚姻中に得た財産については、夫婦共有財産と推定されることになります(民法762条2項)。
これに対して、婚姻前から持っていた財産(独身時代の預貯金等)や結婚後であっても相続によって得た財産は、夫婦が協力して得た財産とはいえないため、「特有財産」となり、財産分与の対象とはなりません(民法762条1項)。
夫が独身時代に稼いだお金は「特有財産」になります。そして、そのお金を使って、結婚後に株で大金を儲けていたとしても、元手が「特有財産」である以上は、それを運用して得たお金も「特有財産」であることは変わりがありません。
そのため、夫が独身時代に稼いだお金を使って結婚後に株で大金を儲けたとしても、儲けたお金は財産分与の対象にはなりません」(理崎弁護士)
結婚後の場合は?
独身時代のお金を元手にしていれば財産分与の対象とはならないことがわかりました。では、結婚後である場合はどうなのでしょうか?高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に聞いてみると……。
「結婚後に稼いだお金は、原則として夫婦共有財産となります。そのため、そのお金を元手にお金が増えた場合には、増えたお金についても、基本的には夫婦共有財産となり、離婚時の財産分与の対象となります。
もっとも、毎月のお小遣いなど夫婦共同生活とは関係のないお金を運用して稼いだお金については、特有財産となり財産分与の対象とはなりません」(理崎弁護士)
夫婦だからすべてのお金を財産分与できるというわけではないようです。
取材対応弁護士:理崎智英
高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。
取材・文:櫻井哲夫
フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中。
記事提供:シェアしたくなる法律相談所
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