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24/08/31

相続・税金・年金

単身者の年金月額が「12万円」と「13万円」で天引きされる金額は全然違う

単身者の年金月額が「12万円」と「13万円」で天引きされる金額は全然違う

年金をもらい始めたら、振り込まれる額が意外に少ないと感じることがあります。年金からも天引きされるお金があるからです。
今回は、年金月12万円の場合と年金月13万円の場合で、天引きされる金額がどれくらい違うかを試算してみます。

年金から天引きされるお金とは?

年金からはさまざまなお金が天引きされ、手取りが少なくなることを認識しておきましょう。年金からは、次のようなお金が天引きされます。

●所得税

年金は雑所得となり、所得税の課税対象となります。課税される場合、所得税及び復興所得税が源泉徴収されます。

●住民税

住民税が課税される場合、年金から特別徴収されます。住民税には一律に負担する均等割と所得に応じて負担する所得割がありますが、自治体によって計算方法は多少異なります。合計所得45万円以下の場合には通常は非課税となります。令和6年度から住民税と合わせて年額1,000円の森林環境税が徴収されています。

●国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)

65歳~74歳の人は国民健康保険料が、75歳以上の人は後期高齢者医療保険料が年金から特別徴収されます。保険料は自治体によって異なります。

●介護保険料

第1号被保険者である65歳以上の人の介護保険料は年金から特別徴収されます。保険料は自治体によって異なります。

年金額によって、天引きされる額も変わってきます。以下、東京都港区在住の67歳一人暮らしで年金収入のみと仮定し、年金月12万円(年額144万円)と月13万円(年額156万円)で天引きされる額を比較してみます。あくまで概算になりますので、詳細はお住まいの自治体に確認してください。

一人暮らしで年金月12万円の場合

年金収入144万円から公的年金等控除110万円を差し引きした雑所得は34万円となります。

【所得税】

雑所得から基礎控除48万円を差し引くと課税所得は0円となるため、所得税は課税されません。

【住民税】

合計所得34万円の場合、住民税は非課税となります。

【国民健康保険料】

所得から基礎控除43万円を差し引くと所得は0円となるので、所得割はかかりません。「令和6年特別区国民健康保険一覧表」より、次のようになります。

均等割(基礎賦課分)49,100円+均等割(後期高齢者支援金等賦課分)16,500円
=65,600円

なお、「東京都港区 国民健康保険の保険料」によると、総所得金額34万円の場合7割減額となるため、年間の国民健康保険料は

65,600円×0.3=19,680円

となり、1ヶ月あたりでは1,640円となります。

【介護保険料】

「東京都港区 介護保険の保険料」によると、住民税非課税で本人の合計所得金額と公的年金等の収入金額を合わせて120万円を超える(この場合は144万円)人は所得段階が第3段階となり、年間の介護保険料額が46,080円となります。1ヶ月あたりにすると、3,840円です。

以上より、年金月12万円の場合に天引きされる金額(1ヶ月あたり)の合計は

国民健康保険料1,640円+介護保険料3,840円=5,480円

となります。

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一人暮らしで年金月13万円の場合

年金収入156万円から公的年金等控除110万円を差し引きした雑所得は46万円です。

【所得税】

雑所得から基礎控除48万円を差し引くと課税所得は0円となるため、所得税は課税されません。

【住民税】

合計所得46万円の場合、住民税が課税されます。ただし、所得46万円から基礎控除43万円及び社会保険料控除(以下に計算する国民健康保険料・介護保険料の全額)を差し引くと所得は0円となるため、所得割はありません。

住民税(年額)=均等割4,000円+森林環境税1,000円=5,000円

となり、1ヶ月あたりでは416円となります。

【国民健康保険料】

所得46万円から基礎控除43万円を差し引いた所得3万円をもとに、「令和6年特別区国民健康保険一覧表」に従って計算します。なお、「東京都港区 国民健康保険の保険料」によると、総所得金額46万円なら均等割が5割減額になるため、年間の国民健康保険料は次のようになります。

・基礎賦課分(均等割49,100円、所得割8.69%)
49,100円×1/2+3万円×8.69%=27,157円

・後期高齢者支援金賦課分(均等割16,500円、所得割2.80%)
16,500円×1/2+3万円×2.80%=9,090円

国民健康保険料(年額)=27,157+9,090円=36,247円

1ヶ月あたりでは、3,020円となります。

【介護保険料】

「東京都港区 介護保険の保険料」によると、住民税課税で合計所得46万円の人は所得段階が第6段階となり、年間の介護保険料額が80,640円となります。1ヶ月あたりにすると、6,720円です。

以上より、年金月13万円の場合に天引きされる金額(1ヶ月あたり)の合計は

住民税416円+国民健康保険料3,020円+介護保険料6,720円=10,156円

となります。年金月12万円の場合と比べて、倍近い金額が天引きされることがわかります。

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年金の手取り額を把握しておこう

年金からも税金や社会保険料が天引きされます。年金額が増えれば、天引きされる金額も増えます。年金をもらい始めてから焦らないように、年金は額面どおりの金額を受け取れるわけではないことを知っておき、手取り額がどれくらいかを把握しておきましょう。

森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー

Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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