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22/11/18

相続・税金・年金

50歳代は国民年金保険料の支払いが厳しくても「納付猶予」が使えないのは本当か

50歳代は国民年金保険料の支払いが厳しくても「納付猶予」が使えないのは本当か

国民年金保険料は20歳から60歳までの40年間支払わなければいけません。万が一、国民年金保険料が支払えなくなった場合、納付免除や納付猶予といった制度があります。
しかし、国民年金保険料の納付猶予は、50代の方は対象外です。もし、50代の人が国民年金保険料を支払うことができなくなった場合、どうすればよいのでしょうか。

国民年金保険料には納付免除・納付猶予の制度がある

一時的に収入が減少したり、失業などによって経済的に厳しい状況に陥ったりした場合、国民年金保険料を払えなくなってしまうことがあるかもしれません。こんなとき、国民年金保険料を払わずにいると「未納」の扱いになってしまいます。国民年金保険料を未納にした場合、2年以内であれば保険料の追納ができますが、以後は追納できなくなります。未納にした期間は、年金をもらうために必要な受給資格期間に含まれず、年金額も増えません。

では、国民年金保険料の支払いが苦しいときは、未納にするしかないのかというと、そんなことはありません。条件を満たせば、国民年金保険料の「納付免除」や「納付猶予」といった制度を利用することができます。納付免除を利用すれば、国民年金保険料の一部または全部を支払わなくてもよくなります。また、納付猶予を利用すれば、国民年金保険料の支払いを先送りできます。

50代は納付猶予の対象外!

しかし、国民年金保険料の納付猶予には、「20歳から50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合」という制限があります。つまり、納付猶予を利用できるのは50歳未満の人に限定されています。2016年6月までは「30歳未満」でしたので、それよりは対象が広がってはいるのですが、50代は納付猶予の対象外なのです。

一方で国民年金保険料の納付免除には、納付猶予のような年齢制限はありません。納付免除の対象は「本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合」ですので、すべての年齢の人が利用できます。

したがって、50代で国民年金保険料の支払いが苦しい場合には、納付免除が利用できないか、お近くの年金事務所に相談してみましょう。

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国民年金保険料の納付免除・納付猶予制度はどんなもの?

国民年金保険料の納付免除・納付猶予制度には、次のようなものがあります。

●国民年金保険料の納付免除

納付免除とは言葉の通り、国民年金保険料の支払いを免除してもらう制度です。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類に分かれており、前年度の収入などによって決まります。

国民年金保険料が免除された期間は、将来もらえる年金(老齢基礎年金)の受給資格期間に含まれます。ただし、国民年金保険料を納めた場合の年金額より、免除された金額に応じて、年金額は減ります。具体的には、
・全額免除の場合:本来の年金額の8分の4
・4分の3免除の場合:本来の年金額の8分の5
・半額免除の場合:本来の年金額8分の6
・4分の1免除の場合:本来の年金額の8分の7
となっています。

国民年金保険料の免除をうけても、10年以内であれば後から国民年金保険料を納める追納が可能です。国民年金保険料の追納を行えば、年金額も本来の金額になります。

●国民年金保険料の納付猶予

納付猶予とは、国民年金保険料の支払いを先送りできる制度です。納付猶予も、年金をもらうために必要な受給資格期間にカウントされます。しかし、納付猶予は追納しない限り、将来受け取る年金額に反映されることはありません。納付猶予の場合の追納も、10年以内であれば可能です。

●国民年金保険料の納付免除や納付猶予の制度はほかにもある

なお、国民年金保険料の納付免除や納付猶予の制度はほかにもあります。

学生の場合「学生納付特例制度」が利用できます。学生納付特例制度は、20歳時点で学生の人が国民年金保険料の支払いを猶予してもらえる制度。前年度の所得が一定以下(128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)の学生が利用できます。学生納付特例制度は「納付猶予」と同じように受給資格期間にカウントされますが、後から保険料を納めない限り、将来もらえる年金額には反映されません。

また、出産に伴う産前産後期間は、年金保険料の支払いが免除されます。具体的には、出産日または出産予定日の前月から4か月間(多胎妊娠の場合、出産予定日または出産日の3か月前から6か月間)にわたって国民年金保険料が免除になります。産前産後期間の免除制度の場合、免除された期間は国民年金保険料を納付したものとして受給資格期間にカウントされるので、将来の年金額にも反映されます。

このほかにも、配偶者からの暴力による特例免除制度や新型コロナウイルス感染症の影響による臨時特例免除などがあります。

まとめ

50代の人は、収入の減少や失業などの経済的な事情により国民年金保険料の支払いが厳しくなった場合、国民年金保険料の「納付猶予」制度は利用できません。しかし、国民年金保険料の「納付免除」制度は利用できますので、いざというときは相談してみましょう。
また、国民年金保険料の支払いが厳しいからといって、決して放置して未納にしてはいけません。なるべき早い段階で年金事務所に相談に行くことをお勧めします。

渡部ナオコ ファイナンシャルプランナー

大学卒業後から現在まで金融業界一筋のアラサーワーママ。結婚・出産・子育て・マイホーム購入などの自身の経験から、一人でも多くの女性の悩みを解決したいと思い執筆を開始。
プライベートでは一人娘の育児に奮闘中。

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