17/07/07
借地権付の物件は投資してもOK?
不動産投資をするにあたり、投資候補となる物件をいくつか見て回ると思いますが、時々、都心部の築浅物件で利回りが高い物件を見かけます。よくよく見てみると、その物件は「借地権物件」であることが少なくありません。
不動産投資の際、「借地権付き物件」は投資対象として有効なのでしょうか?
そもそも借地物件とは
借地というと、敬遠する人が少なくないようですが、借地物件ならではのメリットがあります。
借地は、借り物の土地なので固定資産税や都市計画税といった税金がかかりません。ですからリッチもよく広い物件を安く手にいれることができ、家賃も高めに設定することができます。融資がおりるのであれば狙い目物件といえるでしょう。
そもそも借地権とは「自分で土地を取得せず地主から土地を借りて、その上に建物を建てて使用する権利」のこと。建物のみ登記することができ、売買する場合は地主の許可を得て「借地権付き建物」という形で取得します。借地権は実は借り手側に有利な権利です。
通常は、地主の都合で更新を拒絶させることはないため、数世代にもわたって借地権に住み続けているというケースも少なくありません。知り合いの地主さんが「自分の土地でも人に貸し付けたら結局自分のものじゃなくなる」といっていましたが、それだけ、借り手側の権利が守られているわけです。ただし、基本的に定期借地権の場合には更新ができず、期限がきたら更地にして地主に返還する必要があります。
デメリットも把握して総合的に判断しよう
利回りから見ても狙い目の借地権物件ですが、もちろんデメリットもあります。借地権の物件は、所有権の物件に比べて融資がおりにくい傾向にあり、人によっては借地権の物件を敬遠するので、いざ売却したいという場合でも売却までに時間がかかる可能性があります。
また、借地権の物件の場合、気になるのは「更新料」と「地代」です。更新料は地主との話し合いで決まるケースが多いのですが、一般的には土地を更地にした場合の価格の5%〜10%です。資産価値の高い好立地なところであればあるほど土地の価格も高いので、仮に土地の価格が5000万円だった場合、5%といえども250万円も支払うことになります。
他にも、契約期間中に建替や売却をする場合には地主の許可と建替承諾料、譲渡承諾料が必要になります。それぞれの物件で契約内容が違うのでよく確認し、これらの費用を支払っても投資として成り立つのかどうかを見極めるようにしましょう。
そして、毎月地主に支払うのが「地代」です。一般的には固定資産税の何倍と定められることが多いのですが、物件によっては契約書に金額が定められているものもあります。地代は毎月のランニングコストなのでしっかりと確認するようにしましょう。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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