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24/04/30

相続・税金・年金

「失業手当」と「高年齢求職者給付金」はもらえる金額が全然違う

「失業手当」と「高年齢求職者給付金」はもらえる金額が全然違う

仕事を辞めて、次の仕事を探している間にもらえる失業手当(雇用保険の基本手当)は、仕事を探している間の生活を支えてくれる大切な収入です。この失業手当、65歳以降になると「高年齢求職者給付金」に変わることをご存じでしょうか。
今回は、高年齢求職者給付金の仕組みともらえる金額をご紹介。失業手当と高年齢求職者給付金では、どちらがたくさんもらえるのでしょうか。

高年齢求職者給付金は「65歳以降の失業手当」

雇用保険に加入している人が離職すると、一定期間、失業手当(雇用保険の基本手当)がもらえます。これと同じように、65歳以上で雇用保険に加入している人(高年齢被保険者)が離職し、「失業の状態」となった場合にもらえる給付金が高年齢求職者給付金です。つまり高年齢求職者給付金は、65歳以降の失業手当のようなものです。

なお、「失業の状態」と認められるには、

①就業したいという意思がある
②いつでも就職できる能力・環境がある
③就職できていない
④積極的に求職活動をしている

という4つの条件を満たす必要があります。ですから、たとえば

・家事や家業をするため就職できない
・再就職が決まっている
・病気などで今すぐ働けない
・定年退職後、しばらく休養する

といった場合には、もらえません。

高年齢求職者給付金の手続きは?もらえるまでに時間がかかる点に注意

高年齢求職者給付金の手続きは、最寄りのハローワークで行います。手続きする際には、次のものを持っていきましょう。

●高年齢求職者給付金の手続きに必要なもの

1.離職票-1、離職票-2
2.マイナンバーカード
(マイナンバーカードがない場合①②を持参)
 ①個人番号確認書類(いずれか1種類)
 通知カード、個人番号の記載のある住民票
 ②身元確認書類((1)から1種類、または(2)から2種類)
  (1)運転免許証、官公署が発行した身分証明書など
  (2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
3.写真1枚(最近の写真縦3.0cm×横2.4cmの本人写真
4.本人名義の預貯金通帳またはキャッシュカード

ハローワークで求職の申込みを行い、離職票を提出し、必要書類を提示します。

高年齢求職者給付金はこれですぐに支給される…というわけではありません。失業手当と同じく、高年齢求職者給付金にも7日間の「待機」があります。この期間にはお金が支給されません。また、待機中に働く(1日4時間以上)のもNG。働いた場合は、その分待機期間が延長されます。

待機が終わったあと、会社都合退職であれば、高年齢求職者給付金が受け取れます。65歳で定年退職したという場合の「定年退職」は会社都合の退職になります。
対して自己都合退職の場合はさらに2か月または3か月の給付制限期間があります。通常、給付制限期間は2か月ですが、「自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された場合」「5年間で3回以上自己都合退職をしている場合」は3か月となります。
給付制限期間が終わったあと、ハローワークが指定した日に出向き、失業の状態が確認されると、高年齢求職者給付金がもらえます。

なお、高年齢求職者給付金がもらえる期間は離職日の翌日から1年以内です。期限を過ぎてから申し込んでもお金はもらえませんので、離職票が届いたら速やかに手続きしましょう。

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高年齢求職者給付金はいくらもらえる?

高年齢求職者給付金の金額は、退職前6か月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、所定の給付率をかけた金額(基本手当日額)です。この金額が後で紹介する給付日数分もらえます。計算方法自体は、失業手当と同じです。

<基本手当日額の計算方法(2023年8月1日〜)>

厚生労働省の資料より

この表は失業手当のものですが、65歳以上の人が高年齢求職者給付金を受給する場合には、「離職時の年齢が29歳以下」のところを参照します。
基本手当日額は賃金日額によって異なり、2196円〜6945円です。たとえば、毎月の賃金が18万円(賃金日額6000円)で計算すると、基本手当日額は4585円になります。

高年齢求職者給付金の給付日数は、雇用保険の被保険者期間が1年未満の場合30日分、1年以上の場合50日分です。したがって、基本手当日額4585円の場合の高年齢求職者給付金の金額は、30日分ならば4585円×30日=13万7550円、50日分ならば4562円×50日=22万9250円となります。

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高年齢求職者給付金は失業手当とどう違う?

高年齢求職者給付金をもらうための条件や金額は、一見失業手当とよく似ています。しかし、失業手当と違う点もあります。

●高年齢求職者給付金より失業手当のほう長い期間もらえる

高年齢求職者給付金の給付日数は最大50日です。それに対して、定年退職した人が失業手当をもらう場合の給付日数は最大150日。給付日数が単純に3倍違います。当然、もらえる金額も失業手当のほうが多くなります。

なお、失業手当をたくさんもらうために、あえて65歳になる前に退職する方法もあります。仮に毎月の賃金が18万円(賃金日額6000円)の方が64歳で退職した場合、基本手当日額は4498円、もらえる失業手当の金額は150日分の場合67万4700円ですから、失業手当のほうがずっと多くなります。

ただ、65歳より前に退職することで、会社によっては退職金や賞与が少なくなるなど、デメリットも生じます。よく確認した上で退職日を決めましょう。

●高年齢求職者給付金は失業の認定が1回で済む

失業手当をもらう場合は、4週間に1度ハローワークに行き、失業の状態であることを認定してもらう必要があります。しかし、高年齢求職者給付金は一時金なので、失業の認定も1回で済みます。

●高年齢求職者給付金はまとめてもらえる

高年齢求職者給付金は、30日または50日分を一時金でまとめてもらえます。それに対して、失業手当は28日(4週間)分ずつもらえます。

●高年齢求職者給付金は年金と一緒にもらえる

高年齢求職者給付金は年金と一緒にもらうことができます。一方、失業手当は年金と一緒にもらうことができません。失業手当をもらうと、繰り上げ受給した老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金など、65歳までの間にもらえる年金は支給停止になります。

高年齢求職者給付金は、失業手当に比べて給付日数が少ないことは少々残念かもしれません。しかし、一時金でまとまった額がもらえる、年金と一緒にもらえるなど、求職中の収入を補うのに役立つ制度といえます。

高年齢求職者給付金の手続きを忘れずに

高年齢求職者給付金をもらうには、離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6か月以上必要。高年齢求職者給付金には年齢の上限や受給回数の制限がないので、この条件を満たせば、離職するたびに何度でももらえます。65歳以降に退職し、次の仕事を探すならば、忘れずに手続きして、高年齢求職者給付金をもらいましょう。

畠山 憲一 Mocha編集長

1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。

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