地方物件への投資はOK？それともNG？

ここ数年、不動産投資に注目が集まっており、特に2020年に開催される東京オリンピックを見据えて東京の物件の人気が高まっています。その影響で、今、東京の物件価格は高騰！東京の物件に投資をしたいと思っても価格が高いので躊躇してしまう人が多いようです。
そこで、注目されているのが東京の物件に比べて価格が低く高利回りが期待できる地方の物件。果たして地方物件への投資は有効なのでしょうか？

10％の利回りも珍しくない！？注目される地方物件

ここ数年、不動産投資の人気が高まってきており、不動産投資に関する問い合わせも急増しています。
私のお客様の中でも東京の物件に投資したいという人は多いのですが、2020年の東京オリンピック開催を見据えて、今、東京の物件価格は高騰中。都内の立地のよいエリアでも3年前には1800万円程度で購入できた物件が今では2300万円程度になっているケースも珍しくありません。ですから利回りから見ても、物件価格が高い分、東京の物件はパッとしないのが実情です。
一方、地方の物件を見てみると、物件価格が安く利回り10％を超えている物件も少なくありません。私の周りでも高利回りに期待して地方物件に投資する人も多くなり、地方物件に注目が集まっているようです。

地方物件に投資する際の注意ポイントは？

地方物件を考える場合、まずポイントになるのが、「人口が増加している都市」なのかどうかです。不動産投資では、自分が投資した物件に安定して借り手がつくことが大切です。そう考えると、ある程度の人口が密集し、賃貸需要が活発でないと安定した収益を確保することはできません。ご存知の通り、今日本では少子高齢化が加速すると同時に人口の減少にも見舞われています。ですから、人口の問題をリサーチせずに投資してしまうと、失敗してしまう可能性が大きいのです。

では、一体、どこの地域が人口が増えているのでしょうか？首都圏以外で人口が増えている県といえば、福岡県、愛知県、大阪府です。その中でも福岡、名古屋、大阪などの人口100万人以上の大都市を選択した方がよいでしょう。
ただし、地方の大都市の投資用物件とはいえ、苦戦している人を多く見受けます。まず、東京に住みながら地方物件に投資するという場合、自分自身で管理するのは現実的ではありません。

そこで重要なのが「管理会社選び」です。なんといっても、「賃貸付け」がうまくいかないと高い利回りは享受できません。賃貸付けは管理会社によって能力の差が大きくでるところです。空室になっても2ヶ月空室なのか、１年空室なのかによって収益への影響は全く違います。また、定期的なフォローアップや情報提供などがあるかどうかも重要です。信頼できる管理会社に管理を頼めないと長期間賃貸がつかず、投資自体、失敗に終わってしまいます。

地方は固有の地域的事情への依存が大きいことに注意！

地方は固有の地域的事情への依存が大きいことも問題です。私のお客様で地方の大学の前のアパートに投資している方がいますが、急に大学が移転することになり、それまでその大学の学生たちで満室だったのに、学生たちが次々に引越ししてしまい、部屋の半数以上が空室続き…という状態の方がいます。
地方の場合、大学や商店街など、ひとつの大きな地域的事情に依存している傾向があり、環境が変わってしまうと途端に収益が悪化してしまう傾向にあるようです。

東京であれば、例えば、大学が移転してしまったとしても、他の教育施設や商業施設など、他の要素でリカバリーすることができます。
さらに、東京では、長期間にわたり、高い家賃が維持できるのに対し、地方は低くなる傾向にあります。東京のワンルームでは、築20年と築年数が古くても立地がよければ、平均して7万円〜8万円の家賃収入が期待できます。一方、前述した福岡、名古屋、大阪などの築10年程度のワンルームマンションであっても家賃4万円〜5万円というケースも珍しくありません。また、家賃の下落率も東京に比べて地方の方が大きいようです。

ですから、地方物件への投資を考える際には利回りだけに注目するのではなく、総合的な観点から検証してみることが大切です。

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高山一恵ファイナンシャルプランナー

(株)Money＆You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha（モカ）』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X（旧Twitter）→@takayamakazue