19/01/08
住宅は増税してから買うのは正解? 制度拡充を踏まえて購入タイミングをFPが解説
2019年10月に消費税が上がる予定です。その前に大きな買い物は済ませておきたいものですね。人生で一番大きな買い物といえば家ですが、果たして今買った方がいいのでしょうか?
住宅には、消費税の増税後、消費が冷え込むことを避けるため、購入者にやさしい3つの優遇制度が用意されています。それらの概要を紹介します。
住宅ローン控除は3年間延長
住宅ローンを組むと年末のローン残高の1%の所得税が戻ってくる制度です。控除額は最大年間40万円(長期優良住宅の場合50万円)。控除期間は10年間ですので、最大で400万円(500万円)戻ってくることになります。
消費税の増税後、2019年10月以降2020年末までに住宅を購入し入居した場合、この住宅ローン控除が3年間延長されます。延長された3年の控除額は、①建物価格の2/3%(2%÷3年)、②住宅ローン残高の1%のいずれか少ない方となっています。
たとえば、現状3000万円の35年ローンを金利1%で組んだ場合、10年で最大約258万円のローン控除を受けられます。これが増税後になると、追加の3年分で最大約61万円多く戻ってくることになります。
すまい給付金は給付基礎額・給付範囲とも拡大
消費税が5%から8%にアップしたときに、住宅取得における負担を軽減させるためにできた制度です。給付基礎額は、住宅取得者の取得時に適用される消費税率に応じ設定されるため、10%に上昇すると増加します。
現在は年収が510万円以下となっていますが、消費税が10%になると775万円以下までとなるため、年収の高い人も恩恵が受けられるようになります。また、給付基礎額も最大30万円から50万円にアップするのも特徴です。
住宅ローン控除は「税額控除」のため税金を払っていない専業主婦はメリットを享受できません。しかし、すまい給付金は給付基礎額に持ち分割合を乗じて計算されるため、専業主婦でも給付を受けられます。
例えば、年収600万円の夫、年収ゼロの妻が50:50の持ち分で住宅を取得した場合
夫:給付基礎額30万円×50%=15万円
妻:給付基礎額50万円×50%=25万円
で、夫婦合計40万円もらえることになります。
これが夫の持ち分100%だった場合は
夫:給付基礎額30万円×100%=30万円
妻:ゼロ
となり、夫婦合計30万円となります。
住宅エコポイントは最大35万円相当
省エネ性の高い住宅(エコ住宅)や、バリアフリー住宅、耐震住宅、長持ち住宅など一定の性能を有する住宅の新築やリフォームで様々な商品と交換できるポイントが発行される制度です。2009年より3回実行されてきました。
今回の消費税増税に際して、「次世代住宅ポイント制度」が創設されます。1戸あたり最大35万ポイント(35万円相当)がもらえるので、基準をクリアする住宅を新築したりリフォームしたりする場合に有利です。
結局、増税後の方が有利なのか?
これだけメリットが多くなると、増税後に住宅を取得したほうがよさそうに思えます。
しかし、最初に紹介した住宅ローン控除は「税額控除」(実際に払った税金を戻す制度。払っていなければ戻る税金もない)のため、そもそもさほど所得税・住民税を払っていなければローン残高の1%の全額キャッシュバックがありません。
すまい給付金を受けるために夫婦共同名義にすると登記費用や住宅ローンの手続き諸費用が上がってしまうこともあります。
また、住宅エコポイントを取得するための条件をクリアするために住宅費用がアップしてしまうケースもあります。
ですから、総じて増税後の方が有利とはいえません。
「増税前に買っておきましょう」と業者にあおられて住宅購入する前に、増税後にできる制度を理解し、どちらがよいのかじっくり見極めましょう。
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稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー
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