26/09/14
9割が知らない隠れ年金「加給年金」年42万円もらえる人はどんな人?

昨今は晩婚化により、40代もしくは50代で子どもを授かり、65歳になっても子育てが続いているのは決して珍しくありません。また、子どもがいなくても、何らかの事情で配偶者が専業主婦・主夫をしているという家庭も一定数存在します。実は、65歳以上かつ一定の条件を満たす人であれば、一般的な年金(老齢年金)だけでなく上乗せ分を受け取ることが可能です。今回の記事ではその上乗せ分にあたる「加給年金」について解説します。
一定条件を満たすと受け取れる加給年金
加給年金とは、65歳に達した時点で20年以上厚生年金に加入している人が老齢厚生年金の上乗せ分として受け取れる年金のことです。扶養に伴う経済的な負担を軽減する趣旨の制度ですが、老齢厚生年金を受け取れること前提としているため、自営業など老齢国民年金のみを受け取る人は対象になりません。
また、次のいずれかに該当する家族を扶養していることが受給のための条件となります。
・65歳未満の配偶者
・18歳到達年度の末日までの子ども
・障害等級1級・2級の障害を持つ20歳未満の子ども
ここで言う「扶養している」とは、被保険者と同居している、もしくは別居しているものの仕送りをしていることが挙げられます。さらに、対象者の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満でなくてはいけません。 2026年(令和8年)4月からの加給年金の年額は以下のとおりです。
<加給年金額(2026年4月から)>
| 対象者 | 加給年金額 | 年齢制限 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 243,800円 | 65歳未満であること (大正15年4月1日以前に生まれた配偶者であれば年齢制限なし) |
| 1・2人目の子 | 各243,800円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
| 3人目以降の子 | 各81,300円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
日本年金機構「加給年金額と振替加算」より筆者作成
また、配偶者が加入年金を受け取る場合、生年月日に応じた上乗せ分(特別加算額)も併せて受け取れます。1943年4月2日以降生まれであれば、特別加算額は年17万9900円なので、加給年金は合わせて年42万3700円になります。
なお、子どもが18歳到達年度の末日を過ぎた、もしくは障害があるものの20歳に達した場合、受給条件を満たさなくなることから、加給年金は打ち切られるため注意が必要です。
また、配偶者の場合、以下の条件に当てはまると加給年金の支給が停止されます。
・老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)を受け取る権利がある
・退職共済年金を受け取る権利がある(組合員期間20年以上)
・障害年金を受け取れる
65歳以降は振替加算が受け取れることもある
配偶者が65歳に達すると加入年金が打ち切られるものの、一定の条件を満たしていれば配偶者本人の老齢基礎年金に所定の額が上乗せされます。この制度を振替加算と言い、国民年金の加入が義務付けられていなかった時代に任意加入しなかった(できなかった)人の年金不足を解消するために設けられました。
振替加算を受給できる人の条件は以下のとおりです。
・1926年4月2日から1966年4月1日までの間に生まれている
・厚生年金保険および共済組合等の加入期間が20年未満である
・1951年4月1日までに生まれた人の場合、35歳(夫であれば40歳)以降に厚生年金保険に加入していた期間が15年〜19年以上ある(生年月日により必要な期間は異なる)
なお、振替加算の額は1986年(昭和61年)4月1日時点での年齢によって決まります。同日において59歳以上(1926年4月2日から1927年4月1日生まれ)であれば年24万3100円であり、それ以降は年齢が若くなるごとに減っていく仕組みです。1961年(昭和36年)4月2日から1966年(昭和41年)4月1日生まれの場合、年1万6335円になっています。1966年(昭和41年)4月2日以後生まれの場合、振替加算はゼロになります。
条件に当てはまるかも含めてまずは年金事務所に問い合わせを
加給年金も振替加算も、一定の条件を満たす人のみが受け取れるものです。また、加給年金は年齢制限から外れた場合はもちろん、離婚や死亡により生計を維持されなくなったときにも終了します。
そして何より、たとえ加給年金を受け取れる条件をすべて満たしていても、自動的に受け取れるわけではありません。
65歳到達前になると「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」が届きます。届いたら、加給年金額に関する生計維持の申し立てを記入して年金事務所に提出しなくてはいけません。もしくは「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出してもかまいませんが、いずれにしても手続きは必須です。条件に当てはまるかも含めて、不明な点があればまずは年金事務所に問い合わせ、手続きを進めましょう。
なお、万が一手続きが漏れていても、5年前までの分であれば遡れます。
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荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。取得資格はAFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者(試験合格)、宅地建物取引士(試験合格)
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