26/08/29
亡くなった人の銀行口座はいつ凍結される?凍結前にお金を使ったらペナルティ?

家族が亡くなった場合、その人の銀行口座はすぐに凍結されるのでしょうか。実際には、死亡しただけで自動的に凍結されるわけではなく、金融機関が死亡の事実を知った時点で凍結されます。では、凍結前なら預金を引き出して使っても問題ないのでしょうか。
今回は、亡くなった人の口座が凍結されるタイミングや解除方法、凍結前にお金を使う場合の注意点などについて解説します。
口座凍結はよくあるトラブル
たとえば、「亡くなった家族の葬儀費用を支払うために口座からお金を引き出そうとしたところ、口座が凍結されていて支払いができなかった」といったケースは珍しくありません。また、公共料金や家賃などの引き落としが止まり、督促状が届いてから初めて口座が凍結されていることに気づく人もいます。故人の口座からお金を引き出せず、介護施設の費用や病院代の支払いに困ってしまうケースもあります。
口座の凍結は、特別なトラブルではなく、誰にでも起こり得る身近な出来事です。突然の事態に慌てないためにも、凍結が起こる仕組みと凍結解除までの流れを理解しておくことが大切です。事前に備えておけば、遺族が混乱することも少なく、安心して手続きを進められます。
そもそも口座凍結とは?凍結される理由と凍結のタイミング
口座の凍結とは、金融機関側で、預金口座への入出金ができないよう処理を行った状態を言います。金融機関が口座の凍結をする原因はいくつかありますが、代表的なものは口座の名義人が死亡したときです。銀行口座の名義人が死亡し、金融機関がその事実を知ると、口座が凍結されます。口座が凍結されると、原則として預金の引出しや振込、口座振替などができなくなります。
●口座が凍結される理由
亡くなった人の預金は、亡くなった時点で相続財産となります。相続人は一人とは限らず、複数いる場合があります。そして、預金を誰が相続するか確定する前に一人の相続人が引き出してしまうと、相続人間でトラブルになることが考えられます。こうしたトラブル防止のため、口座名義人が死亡したときには、金融機関は口座を凍結する扱いをするのです。
●口座凍結のタイミングはいつ?
金融機関が口座を凍結するタイミングは、口座名義人死亡の事実を知ったときです。ただし、役所に死亡届を出したら金融機関に通知される仕組みになっているわけではありません。金融機関が死亡の事実を知るタイミングはまちまちです。
最もよくあるのは、親族から問い合わせがあったときです。亡くなった人の親族は、預金の相続手続きについて、金融機関に問い合わせをすることが多いでしょう。こうした問い合わせがあると、金融機関は亡くなった人の口座を凍結します。そのため、死亡後すぐに口座が凍結されるとは限らず、金融機関が死亡の事実を把握するまで口座が利用できる状態になっていることもあります。
なお、親族の問い合わせとは関係なく、新聞の訃報欄などで金融機関が口座名義人の死亡を確認し口座凍結をするようなケースもあります。
●口座が凍結されるとどんな影響がある?
預金口座が凍結されると、原則としてキャッシュカードや窓口で預金を引き出せなくなります。また、その口座からの引き落としもできない状態となります。
たとえば、亡くなった人の口座から家賃や公共料金を自動引き落としにしていた場合には、引き落としがされず、滞納することになってしまいます。そのまま放置していれば、督促を受けることになるでしょう。公共料金を滞納すれば、電気やガスを止められる可能性もあります。
●公共料金などの支払いにも注意
故人の口座から公共料金などが引き落とされていた場合、口座が凍結されると引き落としができなくなることがあります。故人が契約していた電気やガスなどを家族が引き続き利用する場合には、契約者の名義や引き落とし口座の変更手続きを行いましょう。
一方、利用をやめる場合には解約手続きが必要です。口座が凍結されても契約が自動的に終了するわけではないため、忘れずに手続きをしましょう。
口座凍結を解除するにはどうすればいい?
口座の凍結は、放っておいても解除されません。死亡を理由に口座が凍結された場合、凍結を解除してお金を引き出すには、金融機関で預貯金の相続手続きを行う必要があります。預貯金を誰が相続するのかを明確にし、必要書類を揃えて銀行に提出すれば、解約や払い戻しの手続きができます。
●口座凍結解除までの流れ
まず、預貯金の相続手続きの大まかな流れを説明します。どのようなタイミングで口座の凍結や解除がされるのかを知っておきましょう。
(1)故人が取引していた金融機関を調べる
まず亡くなった人の持っていた預貯金を調べる必要があります。自宅に保管されている通帳や郵便物などから取引金融機関を確認しましょう。
(2)金融機関へ連絡・口座凍結
金融機関の窓口に「口座名義人が亡くなった」旨を伝えます。多くの場合、この段階で口座が凍結されます。金融機関は相続手続きについて案内してくれるため、資料一式を受け取り、必要書類などを確認しておきましょう。
(3)戸籍謄本の収集
相続人を確認するため、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本と、相続関係がわかる戸籍謄本を集めます。戸籍謄本は1つの役所で揃うとは限りません。いくつもの役所に請求しなければならないケースが多いため、時間がかかることがあります。早めに動くようにしましょう。
(4)遺産分割協議
相続人が複数いる場合には、預金を誰が相続するかを話し合う「遺産分割協議」を行います。遺産分割協議には相続人全員が参加しなければならないため、疎遠な相続人にも必ず連絡する必要があります。話し合いがまとまれば「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印します。
(5)金融機関に必要書類を提出
必要書類をすべて揃えて金融機関に提出し、相続の手続きをします。必要書類は金融機関によって異なりますが、一般的には以下のような書類を提出します。
・遺産分割協議書
・戸籍謄本(相続関係がわかるもの一式)
・相続人全員の印鑑証明書
金融機関によっては郵送での受付を行っておらず、窓口での手続きが必要な場合もあります。相続人の代表者が行う際には、他の相続人からの委任状を添付します。
(6)金融機関による審査・払い戻し
金融機関は提出された書類の内容を確認します。書類に不備がなければ、相続人名義の口座へ振込、または現金で払い戻しされます。書類の審査には2〜3週間程度かかるのが一般的です。相続人が複数いる場合や書類が揃わない場合はさらに時間を要することもあります。
●故人が遺言書を残している場合
上記は遺言書がない場合の流れです。遺言書があれば遺言書に従った相続が行われるため、遺産分割協議を行う必要がありません。金融機関での相続手続きは受遺者または遺言執行者が行うことになり、次のような書類を提出します。
・遺言書(自筆証書遺言は原則として検認が必要)
・戸籍謄本(口座名義人の死亡が確認できるもの)
・受遺者または遺言執行者の印鑑証明書
●遺産分割について調停や審判で決まった場合
相続人間で遺産分割協議を行っても話がまとまらないことや、遺産分割協議をすること自体が難しいこともあります。遺産分割について話し合いで決められない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停や遺産分割審判を申し立て、家庭裁判所で決める方法があります。 この場合、金融機関での相続手続きは家庭裁判所で遺産分割について決定した後に行うことになり、次のような書類が必要になります。
・調停調書謄本または審判書謄本・確定証明書
・預貯金を相続する人の印鑑証明書
凍結解除前でも相続人は仮払いを受けられる
相続手続きを行って口座の凍結を解除してもらうには、遺産分割協議をしたり必要書類を集めたりしなければならず、時間がかかります。一連の手続きが終わるまでに、亡くなった人の入院費用や葬儀費用の支払いがあり、お金を引き出したいケースも多いでしょう。
●故人の口座からすぐに現金を引き出す方法
凍結された口座からすぐに現金を引き出したい場合、次の2つの方法があります。
①家庭裁判所の仮処分を受ける
家庭裁判所に「仮分割の仮処分」という申し立てをすれば、家庭裁判所の認めた金額まで、相続人の一人が金融機関から払い戻しを受けられます。とはいえ、裁判所を利用することになるため、手続きが複雑になり、ある程度の時間はかかってしまいます。
②預貯金の仮払い制度を利用する
相続開始後、早めに現金が必要な場合には、預貯金の仮払い制度を利用する方法があります。この制度を利用すれば、裁判所を通さずに、相続人が一定額まで単独で預貯金の払い戻しを受けることができます。
●預貯金の仮払い制度で払い戻しできる金額は?
各相続人が単独で仮払いを受けられる金額は次のとおりです。
払い戻し可能な額=相続開始時(亡くなった時)の預貯金額×1/3×法定相続分
※ただし、同一の金融機関からの払い戻し額の上限は150万円
法定相続分とは、民法で定められた相続割合です。
たとえば、相続人が妻と長男、次男の場合、各相続人の法定相続分は次のとおりです。
妻 2分の1
長男 4分の1
次男 4分の1
相続開始時の預貯金額が300万円とすると、それぞれの払い戻し可能額は次のようになります。
妻 300万円×1/3×1/2=50万円
長男 300万円×1/3×1/4=25万円
次男 300万円×1/3×1/4=25万円
●預貯金の仮払い制度の必要書類は?
預貯金の仮払い制度を利用して銀行に払い戻しを請求するときに必要な書類は、以下のとおりです。
・相続関係がわかる戸籍謄本一式
・払い戻しをする人の印鑑証明書
認知症でも口座が凍結されるかも
口座が凍結されるのは、口座名義人が亡くなったときだけではありません。口座名義人が認知症になった場合にも、口座が凍結されることがあります。
●認知症の人の口座はなぜ凍結される?
認知症とは記憶力や判断能力が低下している状態です。認知症になると、自分でお金を適切に管理できなくなってしまいます。他人に言われるままに現金を引き出してしまったり、詐欺にあって高額の買い物をしてしまったりするリスクも出てきます。こうしたことから、金融機関は認知症の人の財産を守るために、口座を凍結することがあるのです。
●認知症の人の口座が凍結されるケース
認知症の人の家族が金融機関に相談して、本人の口座を凍結してもらうことも可能です。また、金融機関側の判断で口座を凍結するケースもあります。たとえば、窓口で高額のお金を引き出そうとした高齢者が意味不明な内容を話している場合、金融機関は認知症と判断して口座を凍結することも考えられるでしょう。
●認知症の人の口座凍結を解除するには
認知症で口座が凍結されると、年金が振り込まれても引き出せないという状態になり、生活費に困ってしまうことも考えられます。一方で、口座の凍結が解除されても、本人は財産の管理ができません。誰かに代わりに財産管理を行ってもらう必要があります。
既に認知症になっている人については、財産管理を行う代理人として、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらうことになります。成年後見人とは、認知症などで判断能力が低下した人の代理人となって財産管理を行う人です。
成年後見人を選任してもらうには、家庭裁判所に「後見開始の申立て」をします。このとき、家族を後見人候補者として申し立てをすれば、家族が成年後見人になれる場合もあります。一般には、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が成年後見人に選任されるケースが多くなっています。
成年後見人選任後、金融機関に届出すれば、口座凍結は解除されます。選任された成年後見人は、本人に代わって口座の入出金を行うことができるだけでなく、財産管理全般を行うことになります。なお、専門家に成年後見人として付いてもらう場合には、報酬を払う必要があります。
●あらかじめ任意後見人を選んでおくこともできる
将来認知症になった場合に備えて、正常な判断能力があるうちに、自分で後見人を選んで契約(任意後見契約)をしておく方法もあります。任意後見契約により依頼する成年後見人は、「任意後見人」と呼ばれます。任意後見人は、親族に依頼してもかまいませんし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。
任意後見契約を結ぶには、公正証書の作成が必須になります。任意後見契約を結んでおけば、判断能力が低下した後、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらうことで、任意後見人に財産管理などを任せられます。
金融機関の代理人サービスを利用できることも
認知症になった人が預金の引き出しなど金融機関と取引を行うためには、成年後見制度を利用して、成年後見人や任意後見人を選任するのが原則です。しかし、成年後見制度を利用すると、手続きの手間や費用がかかってしまいます。第三者に資産の管理をゆだねることに抵抗を感じる人も多く、成年後見制度の利用者はあまり増えていないのが現状です。
こうした背景をふまえ、金融機関の中には、独自の代理人サービスを行っているところもあります。あらかじめ親族やパートナーを代理人として指定しておいた場合、認知症になったときに代理人が診断書を提出すれば、代理人が代わりに取引できるようになります。
すべての金融機関で代理人サービスが導入されているわけではなく、サービスの内容も金融機関によって異なります。将来の資産管理が心配な場合には、取引している金融機関に相談してみるのがおすすめです。
口座凍結の予防策としてできることとは?
認知症になったり亡くなったりして口座凍結されると、家族に迷惑がかかってしまうことがあります。事前にできることとして、以下のような対策を考えてみましょう。
●早めに預金の一部を引き出しておく
万一の場合に備えて、早めに預貯金を引き出してある程度の現金を用意しておくのも1つの方法です。ただし、高額の現金を持っていると盗難のリスクが高まってしまいます。くれぐれも保管場所に注意しましょう。
●生命保険に加入しておく
生命保険の保険金は、民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産として扱われます。保険金については、遺産分割協議で受け取る人を決める必要はありません。契約上の受取人が保険金の請求手続きを行えば、すぐに受け取れます。生命保険に加入しておけば、亡くなった後に口座から現金を引き出さなくても、相続人は現金を手にすることができるのです。
生命保険の保険金にも相続税は課税されますが、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。生命保険の活用は、相続税の節税対策としても有効です。
●取引金融機関を整理する
亡くなった後の凍結解除がスムーズにできるように、取引している金融機関を整理し、できれば口座の数を減らしておきましょう。預金の相続手続きは、金融機関ごとに行わなければなりません。預金口座を開設している金融機関が多ければ、それだけ手続きに時間がかかってしまい、相続人が現金を用意しにくくなってしまいます。
口座の数が多いと、高齢になってから管理するのも大変です。預貯金は一部の金融機関にまとめておくのがおすすめです。口座を開設している金融機関がわかるよう、財産目録を作ったり、エンディングノートに記入したりしておきましょう。
●家族信託を利用する
高齢になってからの財産管理には、家族信託という方法があります。家族信託とは、財産の所有者としての地位はそのままで、財産の管理・処分の権限だけを切り離して家族に与えられる仕組みです。
家族信託を設定する場合、口座の名義は財産管理等を任せる家族(受託者)の名義に変更することになります。適切に家族信託を設定して信託財産として管理していれば、委託者本人が認知症になったことを理由に、本人名義の口座と同じように資金を動かせなくなる事態を避けられる場合があります。
家族信託を利用するには、生前まだ判断能力のあるうちに家族との間で信託契約を結んで公正証書を作成し、金融機関で信託専用の口座を開設するなど複雑な手続きが必要になります。専門家に相談しながら手続きを進めるのがおすすめです。
口座凍結前にお金を使ってしまったらどうなる?
故人の預金口座が凍結される前に、相続人の一人が預金を引き出してお金を使ってしまうことは実際多いのではないでしょうか。
葬儀費用や故人の入院費用などに充てる目的であっても、相続人の一人が自己判断で預金を引き出す場合には注意が必要です。特に相続放棄を検討している場合には、相続財産の処分に当たる可能性もあるため、安易に引き出さない方がよいでしょう。使途がわからないお金があると、私的に使ったのではないかと他の相続人から疑われ、トラブルになることもあります。
口座凍結前に故人の預金口座からお金を引き出して使った場合、次のような問題が生じる可能性があります。
●相続放棄ができなくなる
故人が多額の借金を残している場合などは、相続すれば借金も引き継いでしまうため、相続放棄をしたいことも多いでしょう。しかし、相続放棄の手続きをする前に、故人の財産に手をつけてしまった場合には、原則的に相続放棄ができない仕組みになっています。
相続の際には、単純承認、限定承認、相続放棄の3つから自分で相続方法を選べます。単純承認とはプラスの財産もマイナスの財産を承継すること、限定承認とはプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継すること、相続放棄とはプラスの財産もマイナスの財産も一切承継しないことです。
しかし、以下のような場合には、法定単純承認となり、自動的に単純承認があったものとみなされてしまいます。
・相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
・相続開始から3カ月以内に相続放棄または限定承認をしなかったとき
・相続放棄または限定承認をした相続人が相続財産の全部または一部を隠匿、消費したとき
故人の預貯金を引き出して使った場合、「相続財産の全部または一部を処分した」として法定単純承認に該当し、相続放棄が認められなくなる可能性があります。この場合、後になって故人に借金があることがわかっても、相続放棄できないことになってしまいます。もし葬儀費用や故人の病院代・施設代の支払いなどに使うようなら、証拠を残しておきましょう。
●他の相続人に訴訟を起こされるかも
遺産分割が終わる前は、各相続人が相続財産に対し、法定相続分ずつの権利を持っています。故人の預貯金を使い込んだ場合、自分以外の相続人が損害賠償請求や返還請求をしてくる可能性もあります。
話し合いで解決しない場合には、他の相続人から裁判を起こされることになるでしょう。使い込んだ分を返さなければならないだけでなく、裁判費用の負担なども発生します。もちろん、他の相続人との関係も悪化するでしょう。
口座が凍結されていない状態であっても、家族が亡くなった後に預貯金を引き出す場合には、トラブルにならないよう慎重に行う必要があります。
亡くなった人の銀行口座の凍結に関するQ&A
ここからは、亡くなった人の銀行口座の凍結について、よくある疑問をQ&A形式で解説します。
●Q1. 死亡届を提出すると銀行口座はすぐに凍結される?
死亡届を役所に提出しただけで、銀行口座がすぐに凍結されるわけではありません。役所から金融機関へ口座名義人の死亡が自動的に通知される仕組みにはなっていないためです。
一般には、相続人が金融機関へ連絡したときなど、金融機関が口座名義人の死亡を知った時点で口座が凍結されます。そのため、亡くなってから口座が凍結されるまでの期間はケースによって異なります。
●Q2. 銀行口座が凍結されているか確認する方法は?
ATMやインターネットバンキングなどを利用した際に取引できなければ、口座が凍結されている可能性があります。ただし、取引できない原因が口座凍結とは限りません。
口座の状態を確実に確認したい場合には、取引している金融機関へ問い合わせる必要があります。ただし、その時点で金融機関が口座名義人の死亡を把握していなければ、問い合わせをきっかけに口座が凍結されることがあります。
●Q3. 口座凍結後も振込入金はできる?
口座が凍結された後の振込入金については、金融機関によって取り扱いが異なります。振込を受け付ける場合もあれば、振込元へ返金される場合もあります。
亡くなった人の口座に継続的な振込が予定されている場合には、振込元や金融機関に確認し、必要に応じて振込先の変更などの手続きを行いましょう。
●Q4. 葬儀費用なら凍結前に口座から引き出しても大丈夫?
葬儀費用に使う目的であっても、亡くなった人の口座から相続人の一人が自己判断で預金を引き出す場合には注意が必要です。特に相続放棄を検討している場合、預金の引き出しや使用が相続財産の処分に当たると判断され、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
また、他の相続人とのトラブルを避けるためにも、引き出した金額や使途を明確にし、領収書などを保管しておくことが大切です。
●Q5. 相続人全員の同意がなくても凍結口座からお金を引き出せる?
一定の範囲であれば、「預貯金の仮払い制度」を利用して、各相続人が単独で払い戻しを受けることができます。
金融機関の窓口で払い戻しを受けられる金額は、「相続開始時の預貯金額×1/3×その相続人の法定相続分」で計算します。なお、同一の金融機関から払い戻しを受けられる金額には150万円の上限があります。
葬儀費用や当面の生活費などが必要な場合には、凍結前に預金を引き出すのではなく、預貯金の仮払い制度の利用も検討しましょう。
●Q6. 凍結された銀行口座は放置していれば解除される?
死亡を理由に口座を凍結された場合、時間が経てば自動的に凍結が解除されるわけではありません。原則として、金融機関で預貯金の相続手続きを行う必要があります。
相続手続きを行う際には、遺言書や遺産分割協議書、戸籍謄本など、状況に応じた必要書類を金融機関へ提出します。手続きが完了すれば、預金の払い戻しなどを受けられます。
口座凍結の仕組みを知って相続時のトラブルを防ごう
亡くなった人の銀行口座は、死亡と同時に自動的に凍結されるわけではなく、金融機関が死亡の事実を知った時点で凍結されます。ただし、凍結前だからといって、相続人が自由に預金を引き出してよいわけではありません。相続放棄ができなくなったり、他の相続人とのトラブルになったりする可能性もあるため注意が必要です。
葬儀費用などでお金が必要な場合には、預貯金の仮払い制度を利用できることもあります。いざというときに慌てないよう、口座凍結の仕組みや必要な手続きを知り、取引金融機関や預貯金の状況を家族で共有しておきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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