26/08/21
「国民年金基金の遺族一時金」と「iDeCoの死亡一時金」、相続税が一切かからないのはどっち?

国民年金基金とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、どちらも公的年金に上乗せして老後資金を準備できる制度です。加入者が亡くなった場合には、一定の要件を満たす遺族が一時金を受け取れる点も共通しています。しかし、「国民年金基金の遺族一時金」と「iDeCoの死亡一時金」では、相続税の扱いが異なることをご存じでしょうか。
今回は、それぞれの制度と死亡時の税金について解説します。
国民年金基金とは?死亡時には「遺族一時金」が支給される
国民年金基金とは、自営業者などの国民年金第1号被保険者が任意で加入できる年金制度です。終身年金(A型、B型)と確定年金(Ⅰ~Ⅴ型)の合計7タイプがあり、希望するタイプと口数を選んで加入します。ただし、1口目は必ず終身年金を選ぶ必要があります。
国民年金基金の掛金の上限は月6万8000円となっており、全額が社会保険料控除の対象です。終身年金は65歳から生涯にわたって、確定年金は60歳または65歳から一定期間、年金を受け取れます。
国民年金基金では、終身年金B型を除く6タイプに「保証期間」が設けられています。年金受給前や保証期間中に亡くなった場合には、遺族に遺族一時金が支給されます。終身年金B型のみに加入している場合でも、年金受給前に亡くなったときには、1万円の遺族一時金が支給されます。
遺族一時金を受け取れるのは、死亡時に生計を同じくしていた遺族で、次の順に優先されます。
(1) 配偶者
(2) 子
(3) 父母
(4) 孫
(5) 祖父母
(6) 兄弟姉妹
iDeCoとは?死亡時には「死亡一時金」が支給される
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で掛金を拠出し、自ら選んだ金融商品で運用して老後資金を準備する私的年金制度です。原則として20歳以上65歳未満の国民年金被保険者が加入できます。なお、2026年12月からは、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていなければ70歳未満まで加入できるようになります。
iDeCoの掛金には、被保険者の種類などに応じて上限が設けられています。拠出した掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。
iDeCoで運用した資産は、原則60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入者等が資産を受け取る前に亡くなった場合には、遺族が死亡一時金として年金資産を受け取ることができます。
死亡一時金の受取人は、一定の遺族の範囲内で本人があらかじめ指定しておくこともできます。受取人の指定がない場合には、確定拠出年金法に基づき、次の順に優先されます。
(1) 配偶者
(2) 亡くなった人に生計を維持されていた子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
(3) (2)以外で亡くなった人に生計を維持されていた親族
(4) (2)に該当しない子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹
遺族一時金や死亡一時金をもらうと税金がかかる?
親族が亡くなって遺族一時金や死亡一時金を受け取った場合、税金がかかるかどうかも確認しておきましょう。
まず、国民年金基金の遺族一時金は非課税です。受け取った遺族に相続税や所得税はかかりません。
一方、iDeCoの死亡一時金は、死亡後3年以内に支給が確定した場合、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。ただし、相続人が受け取る死亡退職金等には、
「500万円×法定相続人の数」
の非課税枠があります。
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人の場合、非課税限度額は、
500万円×3人=1500万円
です。iDeCoの死亡一時金を含む死亡退職金等のうち、相続人が受け取った金額がこの非課税限度額以下であれば、その部分について相続税はかかりません。
なお、死亡後3年を経過してから5年以内に支給が確定した死亡一時金は、相続税の課税対象とはならず、受け取った遺族の一時所得として所得税・住民税の課税対象になります。また、死亡日から5年を経過すると、iDeCoの年金資産は相続財産として扱われます。
死亡時の税金の違いも知って老後資金を準備しよう
国民年金基金とiDeCoはいずれも老後資金を準備するための制度ですが、加入者が死亡した場合の税制は同じではありません。国民年金基金の遺族一時金は非課税ですが、iDeCoの死亡一時金は原則として相続税の対象となり、一定の非課税枠が設けられています。
加入時の税制優遇だけでなく、万一の際に家族へどのように資産が引き継がれるのかについても知っておきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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