26/07/31
60歳以降に退職した後の健康保険、国保と任意継続で保険料はどれくらい変わる?

会社を退職することにより健康保険の加入資格を失う場合には、その後の健康保険(公的医療保険)を選ぶ必要があります。家族の扶養に入る、退職前の健康保険を任意継続する、国民健康保険に加入するという主に3つの選択肢がありますが、どれを選ぶかで保険料が変わってきます。
今回は、年収300万円・400万円・500万円で会社を完全退職した人を例に、退職後の任意継続と国民健康保険の保険料を比較してみます。
退職後の健康保険にはどんな選択肢がある?
近年は、定年後も再雇用で働く会社員が増えています。再雇用の期間中は勤務先の健康保険に加入できるケースが多いですが、完全退職するときには次の健康保険を決めなければなりません。75歳以上であれば全員が後期高齢者医療制度に加入することになりますが、75歳未満なら主に以下の3つから選ぶ必要があります。
・家族が加入する健康保険の扶養に入る
・退職前の健康保険を任意継続する
・国民健康保険に加入する
会社の健康保険に加入している家族がいれば、その家族の健康保険の「被扶養者」になれる場合があります。被扶養者の保険料は発生しないため、最もメリットがある方法です。しかし、扶養に入れない場合には、任意継続か国民健康保険を選ぶ必要があります。
任意継続とは、退職前に加入していた健康保険に最長2年間加入を継続できる制度です。ただし、在職中は会社と折半していた保険料を、任意継続では全額自己負担する必要があります。
国民健康保険は、自営業者やフリーランス、無職の人などが加入する公的医療保険です。他の健康保険に加入していない人は、国民健康保険に加入することになります。
任意継続と国民健康保険では保険料の決まり方が違う
任意継続と国民健康保険では保険料の決まり方が異なるため、どちらを選ぶかで保険料に差が生じることがあります。
任意継続の保険料計算の基準は、退職時の標準報酬月額です。ただし、協会けんぽでは、任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は、32万円となります。組合健保では、「退職時の標準報酬月額と同組合の全被保険者の標準報酬月額のうち低い方」を基準としているところが多くなっています。
任意継続を選べば、家族を自分の扶養に入れることもできます。扶養している家族がいる場合には、世帯単位での保険料を抑えられます。
一方、国民健康保険では、前年の所得を基準に保険料を計算します。また、国民健康保険には扶養の概念がないため、家族も国民健康保険に加入すると、その分保険料が加算されます。国民健康保険料は自治体ごとに多少計算方法が違うため、住んでいる地域によっても保険料が変わります。
年収300万円・400万円・500万円で保険料を比較
退職前の年収が300万円・400万円・500万円だった場合に、任意継続と国民健康保険のそれぞれで、退職1年目の年間保険料を比較してみましょう。
【シミュレーションの前提条件】
・60歳以上65歳未満で会社を完全退職
・単身世帯
・任意継続は協会けんぽ東京支部、国民健康保険料は東京都特別区で試算
・2026年度の保険料額
<年収300万円・400万円・500万円の保険料比較>

筆者作成
年間保険料は、年収300万円、400万円では国民健康保険の方が安く、年収500万円では任意継続の方が安くなっています。これは、協会けんぽでは標準報酬月額の上限が32万円となっており、一定以上の収入では保険料が頭打ちになるためです。
一方、国民健康保険は前年の所得が基準となるため、退職時の年収が高いほど保険料も高くなります。つまり、一定以上の年収では、退職1年目は任意継続の方が有利になる傾向があります。
なお、上記は単身者のシミュレーションですが、扶養している家族がいる場合には国民健康保険料が上がるため、任意継続の方が有利になるケースが多くなります。
国民健康保険を選んだ場合、退職後に収入が減ったら2年目以降の保険料が下がる可能性があります。任意継続の保険料は2年間変わらないため、退職後の収入もふまえて選ぶことが大切です。
退職後の健康保険は保険料を比較して選ぼう
退職後の健康保険は、退職時の年収、退職後の収入見込み、家族構成などによって、どれを選ぶと保険料を抑えられるかが変わってきます。退職後の健康保険を選ぶ際には、自分が加入している健康保険の保険料や、お住まいの自治体の国民健康保険料を確認し、自分に合った制度を選びましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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