【歴女の投資術】女心を掴んで離さない「資生堂」の魅力

歴女の投資ファイル　1の巻　資生堂＜4911＞

「企業に歴史あり」
個別株投資を始めるなら、その企業の歴史から知ってみてはいかがでしょう。
小さなベンチャー企業が、これまでなかった独創的なサービスや商品を世に送り出し、大企業へと成長するー、歴史を知ることは、その企業を深く理解することに繋がります。投資で勝つには、まずは歴史から、このシリーズでは、様々な企業（銘柄）の歴史をご紹介致します。

資生堂＜4911＞140年の歴史

資生堂は、1872年、日本初の洋風調剤薬局として、東京銀座に誕生しました。
創業者の福原有信氏は千葉県生まれ、西洋薬学を学んだのち、海軍病院薬局長に就きます。しかし、当時は質の悪い薬品が多く、質の高い薬品を作りたい、と薬局資生堂を若干23歳で開業しました。

資生堂の名前は、中国の古典「易経」の中の「大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる」という意味の一説に由来します。ここには「新しい価値の発見と創造を目指す」という福原氏の想いが込められています。

1888年には日本初の練り歯磨き「福原衛生歯磨石鹸」を発売、1897年には化粧水「オイデルミン」を発売し、化粧品事業に進出します。
”資生堂の赤い水”として親しまれ、西洋の美意識を表現したという優美なガラス瓶に入った「オイデルミン」は、現在でも愛用される100年以上の超ロングエラー商品となっています。
女心を掴んで離さない資生堂スタイルのDNAは100年以上も前から培われていたのですね。

有信氏の後を継いだのは三男の信三氏です。大正4年にはヘアトニック「フローリン」が大ヒット、同社は薬局から化粧品事業に本格転換します。信三氏は社内に意匠部を設置、若いクリエイターたちが資生堂スタイルを完成させていきます。

終戦の翌年、資生堂は女優・原節子を起用した戦後初の多色刷りポスターで広告を再開します。自由にお洒落できる女性の新しい時代を告げたこのポスターは、生きるのも精一杯だった人々に希望を与え、大評判となります。
1957年には台湾で販売を開始し、海外展開を拡大させていきます。

2014年より社長に日本コカ・コーラ元社長の魚谷雅彦氏が就任します。魚谷氏は強いリーダーシップで、構造改革を推し進め、わずか3年後の2017年12月期には、同社を売上高1兆円企業に導きます。

なぜ資生堂の株価は強いのか

出所：ヤフーファイナンス

資生堂の業績は絶好調で、それに伴い株価も右肩上がりとなっています。
これは、訪日外国人（インバウンド）向けの販売が好調であることや、中国やアジア各国の免税店で高級化粧品の販売が拡大しているためです。
特に資生堂の最高級ブランドである「クレ・ド・ポー　ボーテ」は、メイドインジャパンの高品質な化粧品を求める中国人女性の心を掴み急激に売上を伸ばしています。日本への旅行ブームや、帰国後もネットショッピングで買えるようになったこと、SNSで頻繁に目にするようになったことなどで同ブランドのファンが増え、店舗に足を運ぶようになり、さらに売上が伸びるー、と好循環が生まれています。

資生堂は「新しい価値の発見と創造を目指す」という有信氏の創業の想いを140年以上の歴史の中で脈々と受け継ぎ、独自の伝統を築き上げてきました。日本発の化粧品会社として、2020年には高級化粧品市場で世界第3位（現在は第5位）、売上高1兆2000億円超を目指しています。

（終わり）

＊本記事で紹介する個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。購入する場合は自己責任でお願い致します。

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